運命の果ての恋〜歴史は変わらない〜
「大丈夫、異常はないですよ」
にこりと微笑まれ、つられて安堵の笑顔を漏らしてしまう。
まだ小さい小さい命がどれだけ大切か。
きっと、言葉や行動では表現しきれないくらいだろう。
「…先生、」
薄く覆った美夜の長い睫毛が、ぐっとあげられ、目線は先生の方へ向く。
呼ばれたのに気づき、また優しい笑みを浮かべながら返事をする。
「沖田さんは…何の病気ですか??」
先生は、一瞬目を見張る。
質問内容のせいでもあるが、
美夜な真っすぐな瞳にもまたおどろいた。
「…身内の方ですか??」
先生も真剣な瞳になる。
「いえ…」
瞳も少し揺らぎ、声が篭る。
「なら「知りたいんです!!あの人は今、どういう病気なのか!!飄々としていて、自分を潰して!!何も教えてくれないんです!!」
どうして、そこまで知りたいのか。
理由は無い。
ただ、ほっとけなかったのだ。
こんな事を思ったのは、子供が出来たせいなのか分からない。
ただ、龍馬と似ていたのだ。
龍馬は、笑顔で。
沖田は、飄々と。
自分を潰して押さえ込んで。
周りに心配かけまいと一生懸命になってまでもがいている。
そんな姿が、似ていたからかもしれない。
悲しそうに揺らいだ瞳の向こうには何が写っているのか。
「わかりました…」
美夜も、自分の変化に驚いている暇などなかった。
先生が、承諾したのだから。