運命の果ての恋〜歴史は変わらない〜
「また行かなアカンくなったき」
各々が好きな時間を過ごして居ると。
龍馬が、ふいに、ポツリとそう呟いた。
寂しそうな、悲しそうな声のせいか。
美夜はピクン、と反応して龍馬を見つめる。
そんな美夜に気付いた龍馬は優しく笑って頭を撫でる。
その撫でられた頭を、離さないといわんばかりに握る美夜。
「今度は桂と西郷を会わせにゃあならんち!!」
未来を見据えた瞳は、余計に美夜の寂しさを掻き立てる。
でも、それと同時に半ば諦めたように美夜も優しく笑う。
「まぁ美夜ちゃんも連れて行くけんどのぅ」
また、そう呟いた。
「え、聞いてないンですケド??」
ポカン、と龍馬を見つめると。
龍馬は眩しいくらいの笑顔で。
「そりゃあ!!言ってないがぞね!!!」
(そんなカワイイ笑顔怒れねぇよォォォ!!!)
龍馬に胸キュンしながらもだえる美夜が居たのは、また別の話。
「ほんまは美夜ちゃんは危ないき、連れていかれとぉなかったがじゃ」
この時の声、態度と表情を見れば拗ねスイッチが若干入っているのが美夜に確認できた。
だからどうせ大した理由じゃないんだろうな、と思いながらも話を聞く。
「じゃあ、なんで??」
「…桂のあんしが美夜ちゃんにぜひ一度会うてみたい言うち、そんで。」
ほら、やっぱり。
龍馬の勝手な独占欲だった。
西郷とは一度会った事があるからいいけれど。
桂という人物はあんまりよく分からなかったから、少し不安だった。
「桂さんって、どんな人??」
そう聞いたら、龍馬の顔がもっとふて腐れる。
「舞妓にうつつばぬかしゆう阿呆やき。」
「ふ、ふぅん…」
美夜は困った表情で龍馬に返事をした。