運命の果ての恋〜歴史は変わらない〜
「ふはぁ〜」
龍馬より張りきって先を歩くのは、美夜。
現在1月20日。
今居るのは京である。
初めて訪れる京に、美夜は興奮気味、否、興奮していた。
今まで居た下関とはまた一味違った空気に空に人。
上品な人や西洋の格好をした人。
ただ場所が違うというだけで何故か新鮮に思えた。
「おうおう、美夜ちゃぁ〜ん??もっちきちんさぁ〜い」
と言いながらも柔らかく笑う龍馬。
呆れた顔の重太郎。
宝石を埋め込んだようなキラキラとした瞳に、ある人物がうつる。
それは、きらびやかな装飾を身につけ綺麗な着物を着飾った女が、しゃなりしゃなりと目の前を横切った。
あの加尾とはいかないものの、色気を随分と出していた。
女の自分でもドキリと心臓が早くなってしまう。
そして、なにより美夜の目線がいったのは豊満な胸だった。
自分のを見てみれば。
サラシで押さえ付けてるとはいえ、あるのは少しばかり。
胸より先に命を抱いたお腹が膨れている方が視界に入る。
妊娠して大きくなると聞いていた美夜だが。
それもほんの気持ち程度だった。
自分の寂しい胸を両手で押さえた美夜。
すると、後ろからひょこりと龍馬が現れて。
「どがぁした??胸ば押さえて。あぁ、わしに襲われたいん」
龍馬が最後を言い切るまでに、重太郎がスパーンと龍馬の後頭部をはたいた。
「ほたえな」
「いだっ!!重太郎!!おまん!!!!」
叩かれた後頭部を押さえ重太郎を睨むが重太郎は違う場所を向いて素知らぬ顔。
そんな二人を見て、自然と美夜の口は緩んだ。
場所が変わっても、いつもと変わらない三人。
それがいい意味で捕らえられるのか。
それとも悪い意味で捕らえられるのか。
三人には、知る術もなく。
どうでも、よかった。