運命の果ての恋〜歴史は変わらない〜
何もせずにぼうっとして何時間だろうか。
別段、美夜は時間を忘れていたワケでもなかった。
ただ、龍馬が戻って来るのを待っていたのだ。
今どうやら西郷を龍馬が説き伏せているようで。
これから何時間かかるのか。
予想も出来ず。
美夜がのそのそと窓際まで歩く。
いくら1月上旬といっても、寒い。
真冬なのだから。
キンとした空気のような、湿気のようなモノに包まれる。
しんしんと降る雪を目で追ってはまた追って。
寒さのせいで、小さく身震いをする。
またのそのそといろりの火で温まる。
そして、愛おしい命を抱いたお腹をさすって母親さながらの笑顔を綻ばせ、優しく撫でる。
美夜には、幾つか夢があった。
『この子と遊びたい』
『龍馬と一緒に三人…いや、四人で出かけたい』
『たくさんたくさんお喋りしたい』
それは子供がいる家庭なら、どこにでもある風景。
だけど美夜はまだ遥か先の事など考えきれず、ただほのぼのとした家庭を胸に抱いていた。
(私は、この子を守りきる。お母さんやお父さんみたいに、決して子供をいらないなんて言ったりしない)
誰に言うワケでもなく、顔も性別も分からないが龍馬と自分の子に、誓った。