運命の果ての恋〜歴史は変わらない〜
「で、お嬢ちゃんは何ちゅう名前がか??」


ハッ、と美夜は我にかえる。


少し思いだし、涙目になるが隠すように欠伸のフリをした。


そして欠伸のフリを終えて自分の名前を言った。


「武智…美夜。」


「美夜ちゃんがか!!こじゃんと良い名前ちや!!」


「武智、か。」


見事に美夜の呼び方で性格がでていた。


しかし、美夜は初めて良い名前と言われた。


美夜にとって名前は、特定の人物を呼ぶだけのモノだと思っていたから。


少し、龍馬と重太郎に心を許す。


「…ありがとう…どうして、私は龍馬達と居るの??」


美夜は恥ずかしさからか、ありがとうという言葉をぼそりと呟くようにいった。


そして重太郎は、美夜の質問に答えるために、龍馬を指さす。


「こいつがおまんを拾ってきたきぃ」


「ひ、拾ってきたって…」


「どうしゆう??文句あるかえ??」


無愛想な対応に美夜は眉に皺をよせたが、重太郎に威圧され、美夜は黙り込む。


美夜はひそかに重太郎への好感度を下げた。


「それにしてもどうしてこんなに怪我が…」


誰が着せたのか、美夜は着物を着ていて、包帯が体中に巻かれていた。


「おまんが道端で血ぃばこじゃんと出して倒れゆうね、へんしも医者に診てもらったちゃ」


龍馬は苦笑いしながら答えた。


美夜はどうやら医者に包帯を巻かれたらしい。


美夜は謎の安堵感をおぼえた。
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