運命の果ての恋〜歴史は変わらない〜
「では成立記念として祝杯を挙げましょうか」
そう、桂が言ったと思うと。
一気に龍馬と西郷の顔が明るくなる。
「酒じゃ酒じゃ♪」
と、桂も含め上機嫌。
美夜は酒に非常に弱く、非常に酒癖が悪い。
もちろん朝にはすっかり忘れていて。
美夜の酒癖のせいでボロボロになった龍馬と重太郎を見ては心配するモノだから怒るに怒れなかったのだ。
だから美夜も混ざり今日は酒が飲めるぞと口ずさむ(未成年は飲んじゃダメだよ!!)。
そして。
「どうも。まいどおおきに…桂はん」
しばらくして、現れたのは大変綺麗な舞妓さん数人だった。
ほどよい高さの声に柔らかな関西弁。
酒のせいもあってか美夜でさえくらりとした。
すると。
舞妓が現れて間髪入れずに言葉を発した男が居た。
「幾松殿ォッ!!!」
その男とは、桂だった。
まるで桂はアイドルを追っかける熱狂的なファンのように興奮していて。
舞妓にうつつを抜かしている、美夜は今やっと龍馬の言っていた事を理解した。
「あーあ。あんしのせいで酔いば醒めた。お龍、ついでぇ」
「うん!!龍馬♪」
と言っても二人ともほろ酔いで上機嫌でいつもみたいにラブラブしていたら。
「幾松殿はどう見ても別嬪だろう!!まぁ幾松殿は渡さないけどね!!」
さっきのような凜とした声に態度はかけらも見つからない。
「今日は可愛らしい女子はんも居るやないの」
幾松はにっこりと微笑んで。
熱くなる桂を完全スルー。
そして、美夜の少し膨れたお腹を見ると、『まぁ』と小さく声を漏らし。
「もうお酒はお止めになったらよろしおまんしゃす」
と、美夜への体もきちんと気を配っていた。
そしてその後も皆機嫌よく酒を飲んで(美夜以外)。
西郷はただ、影が薄いんじゃないかと心配しながら焼酎を喉に流した。