運命の果ての恋〜歴史は変わらない〜
皆、酔いがまわったせいか畳の上に直接眠っていた。
そんな様子を見て、美夜はくすりと笑うと腰をあげ立ち上がった。
いくら途中から飲まなかったといえど、酒が少したまっていた。
アルコールを抜くため風呂に入る事にしたのだ。
美夜が、髪を丁寧に流し終わった後。
外から、怪しい人影と物音がして、反射的に外を睨む。
すると、月明かりだけの暗闇には似合わない水色と白を基調とした羽織りを来ている人が何人も。
新撰組だった。
美夜の胸はいっきに早鐘を打つ。
ちゃんと体も拭かず、さらしもせずに薄い浴衣一枚だけを羽織った。
そして、何も知らずに眠る三人のもとに駆け付けた。
襖が暴れるように開かれる。
「龍馬!!西郷さん!!桂さん!!!」
心地好く眠っていた所、三人は急に起こされたので瞼だけをゆっくりと開ける。
「新撰組が!!!!」
そう言われた瞬間。
弾かれたように龍馬達は起き上がり、それぞれ武器を取る。
「ご用改めである!!神妙にお縄につけぃ!!!!!」
聞き覚えのある声だと思うと。
すでに抜刀した土方が乱暴に入ってきた。
「お前は…!!」
美夜と土方はがっちりと目が合ってしまい、一瞬お互い身が強張る。
美夜が何もできないでいると、土方は分かったのか、鼻で笑った後に口を開いた。
「…ハッ、そういう事か…だから誘いを断ったんだな」
ニヤリと犬歯を覗かせて笑う土方につられ、美夜も怪しく笑う。
「だったら…何??」
「威勢のいい女だ!!なら容赦なくてめぇを斬れん…だよ!!!」
余りの早さに呆然としてしまう。
空気を割く切っ先が憎らしく思えた。
すると。
ガキィンッ!!!!!
刃と刃がぶつかりあった、耳を塞ぎたくなるような音がした。
「…女…しかも身篭りの女に刃を振るとは見下げましたね…新撰組。」
美夜をとっさに助けたのは桂だった。
桂の声はドスの効いた太い声になって、殺気が放たれていた。
ヒュンッと刀の切っ先が桂の目の前にかすった。
「幕府に逆らう外道が言えたモンじゃないだろォ^^」
その犯人は、沖田だった。
「…!?アンタは…!!どうして!?」
確かに、美夜は医者から沖田は労咳だと聞いたが。
何故、患っている体に鞭を打ってまで居るのか。
「お龍、龍馬の所へ!!」
桂が、美夜の肩を強く押す。
美夜はバランスが崩れたが、龍馬によって抱きとめられた。