運命の果ての恋〜歴史は変わらない〜
何をするのか予想も出来ない龍馬と重太郎はただ海舟を見守るしか出来なかった。
「美夜ちゃん!!大変ですよ、龍馬君が浮気しています!!!!!!」
なんと、美夜の耳元で大声を出したのだ。
その海舟のガセネタに間髪入れずに誰よりも早く反応したのは、美夜だった。
「なんやとゴルァァァァア゙!!!!!!」
龍馬は、怒る美夜に着物の襟を思い切り捕まれ、バランスが崩れて背中から畳にダイブ。
背中に痛みを感じた時には、美夜は正常になっていた。
「…アレ??龍馬??どうして??」
美夜が龍馬に突っ掛かったのはどうやら無意識での行為だったらしい。
まったく今の状況が理解出来ず、辺りをきょろきょろと見ていた。
「美夜ちゃんッッッ!!!!!!!」
そう、美夜の名前を叫ぶ。
急に顔を龍馬の胸板に押さえ付けられますます分からなくなってしまう。
海舟はよかったよかった、といつもの柔らかい笑顔を浮かべている。
重太郎は、呆れたフリをしながらも口角がこっそりあがっていた。
「龍馬君、赤子にも気をつけないとダメですよ」
龍馬はなにもかも頭から消し去っていたせいか、アッ、と声をあげてしまう。
そして、ゆっくりと美夜を胸板から解放してやる。
美夜の長いまつげが何も分かっていないせいか上下に動いてパチクリさせる。
ちゃんと手も暖かいし、息もしている。
美夜の鼓動が『生きている』を叫んでいた。