運命の果ての恋〜歴史は変わらない〜



龍馬と半ば無理矢理連れてこられた美夜は何やら銃が沢山そろう店に入った。

美夜が少し見とれていると、龍馬は店主らしき人に話し掛けていた。


「スミス&ウェッソンっちゅー回転式の銃ばあるですかえ??」

店主っぽい人は、しばらく唸った後、あぁ、と言って奥に入っていった。


そして少しすると、店主は箱を持ってきて、丁寧に開けた。

「S&Wモデル1/2 32口径…うちにはこれしが…」


薄く笑う店主に、龍馬はほぅ…とだけ呟いてその銃を手にとった。

「んー…高杉さんからもらった奴はもうちっくと大きかったけんど…五連ですかえ??」


「あ、はい…こちらは五連で…」

何やら店主が難しい説明をしている事だけを理解した美夜は口を開けぽかんとしていた。


「…まぁ、これが1番型似ちゅう、これ二丁くっださーい」

また、へらりと笑う龍馬に美夜は不思議に思った。


銃を二丁も買うなんて、と。

両手で持つのか、それとも予備用か。


美夜は両手で使うのもまたアリだな、と口元を緩ませていると。

支払いし終わった龍馬がニヤニヤする美夜の前で手をひらひらと振る。


そこで美夜はハッと我に帰る。

「ぇ、えと…っ!!何??」


「いや…美夜ちゃん口元ばへーんな形にしとるから、なんぞあったかと…」

妄想して緩みきっていた顔を見られた、と思った美夜は顔を真っ赤にして頭をフル回転で話題を変えた。


「あ、あのさっ、重太郎って…そんなに凄い人なの??」

店を後にすると、暑い日差しがよらいっそう美夜の顔を熱くさせた。


「…どういて」

龍馬は、美夜の言っている事がまったく理解できないという顔をしている。

「だって…なんか北辰…なんちゃら流を継ぐ人なんでしょ??」


頬の熱はほんの少しだけ下がり、龍馬の顔を見るが龍馬は当然のように頷くだけ。

これだけの日本語で龍馬に理解してもらえるとは美夜も思っていなかったので、さらに補足する。


「なんか…私達の親みたいに面倒みてくれてるけどいいのかな??」

そう、美夜が思うのも仕方のない事だった。


気配り上手だし、龍馬と手合わせしてるのを見たことあるが、龍馬と中々のいい勝負をしていた。

龍馬に北辰一刀流を教えたのも重太郎自信。


賢いし、美夜には道場なのかあまりピンとこなかったが、重太郎なら上手くいけそうなのに、と思った。

「そーいえば」


龍馬本人は今気づいた様で、何がおかしいのか一人で笑いはじめた。

「ほんまじゃ、どういてわしらなんかと居るんやろーのぅ、アッハッハ!!」


どうやら現在でいう『ツボ』に入ったようで、龍馬はしばらく笑い続けた。

そんな龍馬を見ながら美夜は苦笑い。


「んまぁーでも」

押さえてた腹から腕をどけ、涙目になった目をこすりながら龍馬は体制を立て直した。


「重太郎がそうしたい思うてやっちょる。そげんこつにわしらが何か言えるわけでもないがぞね」

美夜は、一瞬呼吸をするのを忘れた。


今まで龍馬の大きさは知っていたが。

何か違う大きさというのか。

大人の考えというのか。

美夜は考えれなかった思考なのか。

よく掴めない大きさに。

美夜は改めて龍馬という男を惚れ直した、と言っても過言ではない。


大股で歩く龍馬に、美夜はふと我に返って龍馬を追い掛けた。





< 132 / 137 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop