運命の果ての恋〜歴史は変わらない〜
気づく命の果て
ゆっくりと桟橋を歩く。
龍馬は美夜の少し前を歩きながら右や左の思い出深い場所を美夜に話す。
そんな話の中に重太郎が出てきたり、家族が出てきたり。
そんな事を話していると、龍馬の家についた。
がらり、と戸を勢いよく開くと、目の前に大柄な女の人が居た。
その女の人はいきなり戸が開くものだから、驚いて目を見張っていた。
誰だか美夜は分からなかったが少し後ろに居た重太郎が女の人にお辞儀をしたので、美夜も慌ててお辞儀をした。
「っっとめねえやんっっっ!!!!!」
龍馬もかなり背が高いのに、女の人に嬉しそうに抱き着きにかかる龍馬を見ると何故か小さく見えた。
美夜は、頭の中で龍馬の姉だとようやく理解できた。
乙女さん。
「…、龍馬ぁぁぁああああああ!!!????」
乙女はどうやら今やっと我が弟龍馬が家に帰って来たと分かったらしい。
「そうちや!!!久方ぶりじゃぁぁあ」
龍馬が感激して乙女をさらに強く抱きしめる。
が、乙女は。
龍馬の頭を思い切り叩いた。
いきなりの事で頭がついていかない龍馬に、乙女は怒鳴った。
「どがぁ面してもっちきち!!!龍馬が脱藩したちゅーてあたいらはえい恥さらしになったがぞね!!!!!!!」
乙女は本当に怒っているみたいで、普段は元気な龍馬が大人しくなっている。
「でも姉やん手紙では書いてなかったちや」
「当たり前じゃ!!そがぁこつ書いたらおまんはいらん心配をあたいらにするき書かんかった…分かっちょるな??」
「う、うん…」
いつも達者な龍馬もたじろいで口ごもっている。
龍馬と同じく感情の起伏が激しい、そう美夜が思っていると。
今度は、乙女の方から龍馬を強く、強く抱きしめた。
「でも…よう生きててくれた…声ば聞かせてくれたち…そがぁだけで…」
乙女の瞳からはぽろぽろと涙が。
龍馬も乙女の涙を見て乙女の胸に顔を埋め泣きはじめた。
「龍馬のお姉さん…凄く想像通りなんだけど」
「おまんと同じはちきんじゃ。」
こそこそと美夜と重太郎が話していると、乙女はようやく重太郎と美夜の存在に気づいた。
「あら、重太郎ちゃんかえ??」
龍馬の面影がどこかチラつく笑顔を二人に向けたとき乙女の体から龍馬は引きはがされ壁にたたきつけられていた。
乙女は重太郎の両手をとり久しぶりだ、と嬉しそうに話している。
ころころと表情と興味が変わるのはやはり姉弟だから似ているのだろうか。
重太郎と話していた乙女が次にロックオンしたのは美夜。
「ん??さなちゃんかえ??にしてもちっくと小さく、、、、」
乙女は自分より頭一つ分小さい美夜の慎重や胸を見る。
美夜はとりあえず何かけなされると思いすぐに否定をした。
「あのっ、龍馬さんと夫婦にならせてもらったお龍です!!」
「め、お、とっ!!??」
美夜は一応もう一つの名の方で自己紹介をする。
乙女は夫婦、と復唱した後またすぐに口を開いた。
「龍馬の!!へ〜、こじゃんと別嬪さんね、、、龍馬の妻は苦労ばっかやろ??」
悪戯っぽく笑う乙女はやはり龍馬の姉だと思わせる。
美夜は適当に話した後、乙女に奥へと案内された。