運命の果ての恋〜歴史は変わらない〜
「どうして…??」


美夜は自然とそんな言葉が、漏れていた。


「どうしゆう??」


龍馬は、急に固まる美夜に首を傾げる。


同じく重太郎も首を傾げはしないが一応の心配はする。


「龍馬達は…どうして、見ず知らずの私なんかに…??」


そう、言うと龍馬は曇る事の無い笑顔で、


「見ず知らずやから、おなごやから、ちゅうワケやなか。わしは、おまんという尊い命を大切にしゆう。尊い命も大切にできん奴に国は変えれないがぞね。」


そう、言った。


また、出てきた。


『尊い命』


一体、何なのか美夜はまたわからなくなる。


自分さえ、としか考えない自分にも、尊い命があるのだろうか、と美夜は考えるが。


龍馬の瞳を見ると、その瞳は凄く澄んでいた。


何色にも染まる事のない自分色をもった瞳だった。


重太郎も、そうだった。


まっすぐに美夜を見ていた。


二人とも、美夜には理解できない考えと、思想、志をもっていた。


とたんに、目頭がぐあっと熱くなる。


鼻と喉が痛くなって、一粒、瞳の中で堪えきれなくなった涙が溢れる。


それにつられるようにして、涙は後から後からとめどなく溢れでた。


美夜を心配し、背中をさする龍馬と、


優しい瞳で美夜を見つめる重太郎。


今まで、美夜の前には、こんな素敵な人は、現れなかった。


こんなに、甘えれる人は、居なかった。


美夜は、今だけは二人に甘える事にした。
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