運命の果ての恋〜歴史は変わらない〜
もしかしたら、自分は龍馬に恋をしてるんじゃないか、と美夜は思った。


が。


すぐに頭の中で否定をする。


美夜は今まで自分しか見てこなかった。


だから、人に感情を寄せるなんて自覚した事がない。


しかし、美夜は一度、佳に恋してる、と思った事があった。


だけど、返事はNO。


佳は、決して使用人という立場を超えず、誰よりも美夜に忠実だった。


美夜からすると、佳は使用人という関係で終わらせたくなかった。


しかし佳はそこだけは美夜に反対した。


『すみません…私はただの部下です…。美夜様には、間違いを犯してほしくありません…そして、美夜様はただ忠実な僕との関係が心地好くて誤解をしてるんじゃないでしょうか??』


佳は、いつもとなんら変わりなく。

部下、として、美夜に言った。


決して。


一人の人間。


一人の男。


それを美夜には絶対に出さなかった。


佳が美夜に断った理由が大人びて、説得力があって。


美夜はフられたのに涙すら出ない。


美夜の見ている少女漫画では、いつもヒロインが恋愛で泣いていた。


だけど、美夜の頬には、何もつたわなかった。


美夜の心の中では、


あ、私が間違ってるんだ。


佳が正しいんだ。


涙も出ないなんて、佳への想いはそれぐらいって事か。


その三つの言葉が、美夜の頭の中で延々と流れ続けた。
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