運命の果ての恋〜歴史は変わらない〜
それから3時間弱。


二人はいっこうに姿は見せない。


何かが割れる音も、雄叫びすらも。


この場にいる者はただ不安を募らせる。


それでも美夜は、信じ続けた。


すると、旅館の入口から、美夜の待ち続けた二人が姿を現す。


美夜は、安堵と共に、背徳感が襲う。


人の命が奪われ、喜んでいる自分を軽蔑する。


しかし二人はパッと見、傷どころか返り血すらついた痕跡がない。


龍馬は上機嫌で美夜達の方に歩みより、重太郎は龍馬の数歩後ろで呆れた顔。


「美夜ちゃん!!!」


龍馬はこちらへ戻るなり美夜を抱きしめ頭をわしゃわしゃと撫でる。


「わわっ」


思わずでた言葉にまた赤面する美夜。


美夜の頬は自分でも火傷するのではないかというくらい熱く思えた。


「美夜ちゃん、どういてそげに顔ば赤いがか??」


龍馬は、美夜が照れているのにも気づかずに顔を近距離で覗き込む。


「にゃやっ!!??いや、赤くないしッ!!」


突然の事にまた奇声を上げて、恥ずかしさが美夜を一気に襲い、美夜は思わず龍馬を突き飛ばす。


美夜に飛ばされたにも関わらず、美夜の奇声に爆笑している龍馬。


二人はずっとベタベタしていたが。


美夜以外の外で待っていた人達は、龍馬よりも重太郎に何故か聞く。


「それが…」
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