運命の果ての恋〜歴史は変わらない〜
「あれ??間違ってた??龍馬君と重太郎君でしょ??」


海舟は脳天気にも二人の名前を確認する。


もちろん、間違ってなどいない。


そこで初めて龍馬は言葉を発した。


「…どういてわしらの名前ば知っちゅう??」


龍馬のいつものお気楽な態度などなく、真剣だった。


「あ、そっちか!!」


にも関わらず、海舟はお気楽な調子に声のトーン。


「それは、企業秘密ゆえな…ま、ここに座って座って!!」


ボフボフといつの間にか海舟の前には用意された二つの座布団を叩いている。


それに、重太郎は気づかぬ内に、刀は海舟とは反対の方向を向けさせられていた。


重太郎は、海舟が謎に包まれている恐怖に、座布団に座る気配は見せなかったが、龍馬がなんの警戒もなく座ったため重太郎も座った。


「で、わしはおまえらが何故ここに来たか分かっている。」


静かな部屋に、海舟の声がやけに冴え渡る。


「…」


二人は自分からは決して言わなかったが。


「わしが、開国しようとしている事に、賛成しているから潰そうとしているのだろぅ??」


「…ッ!!」


まさに的確な海舟の指摘に二人は驚く。


こんなにもお気楽に見えるのに。


一体何者か…二人は見透かされていた。


驚く二人をよそに、海舟は口を開く。


「わしを斬る前に…話を聞いてくれるか??」


「…」


二人は、否定も肯定もしないが、海舟は、また優しく口元を綻ばせ、


「そうか」


とだけ呟いた。


海舟は一旦ゆっくりと深呼吸をする。


「よし!!…わしが話すのはな…今の世界情勢と、海軍の必要性の事だ。」


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