運命の果ての恋〜歴史は変わらない〜
とにかく、この気持ちがむかつく。


呑気にいびきたてて寝ている龍馬に八つ当たりしそうな自分がむかつく。


勝手に嫌な事を考えてしまう自分がむかつく。


もしかしたら、遠く離れた妻か彼女じゃないんだろうか。


もしかしたら、自分は所詮子供みたいにしか思われてないんじゃないだろうか。


もしかしたら…。


龍馬に、特別な気持ち抱いてるのって…


龍馬に、浮かれたり…


龍馬といると幸せに感じてるのは…


自分だけなんじゃないだろうか。


ふいに、目頭がじわぁと熱くなって、


ふいに、鼻がつんと痛くなって、


ふいに、喉がくっと締め付けられて、


ふいに、瞳から水滴がこぼれ落ちる。


泣いた事に気づいて慌てて袖で頬とか目頭とか目尻とかいろんな所を拭うけれど。


とまらない。


とまらないとまらない。


とまらないとまらないとまらない!!!!!!


寝ている二人にバレたくなくて、声を殺すだけで精一杯。


二人には背を向けて小さい机に向かっているけど。


肩は勝手に震えちゃう。


手に握った手紙がくしゃりと歪んじゃう。


静かな部屋には、しゃくりあげる音が響いちゃう。


どうして、たかが龍馬の事で涙を流すの??


もしかして最近涙腺が緩いだけ??


そうだよね、うん、きっとそう。


そう言い聞かせなきゃいけない。


もう感情が複雑に絡み合った頭の中はごちゃごちゃになってきて頭痛がする。


こうなったのも、龍馬のせい。


こんなときにでも龍馬の事を思い浮かべるようになったのも、龍馬のせい。


怨んでやる。


丑の刻参りしてやる。


夢枕にもたってやる!!!!


そんな事を思っていたら、急に左頬が誰かの大きな手の平で包まれた。
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