運命の果ての恋〜歴史は変わらない〜
ダンッ!!!!!!
と、鈍い音がした後、美夜の背中に激痛が走る。
その時、やっと壁に押し付けられたと頭の中で理解できた。
痛みに顔を歪ませながらも男を睨みつける。
そんな美夜の姿を面白いと言わんばかりに男は笑う。
そんな態度に、美夜はさらに怒りがふつふつと沸き起こる。
すると男は口元を耳まで近づけ、こう囁く。
「俺ァ…幕府の者でなァ…お前が人気の団子屋の娘だろ??お前をぜひ利用してぇ」
「利用…??」
その言葉に、さらに怒りが込み上げる美夜。思い切り睨む。
「いや…力を貸せ。一日にあれだけの客が来る。攘夷浪士の一人や二人来てるだろ??そいつらから情報を聞き出してもらいてぇ…」
美夜はどうやら今日一日監視されていた様だった。
しかし、美夜はそう言われても何も言わなかった。
もちろん、答えはNOに決まっている。
そんな事は、龍馬のする活動に背く事になる。
美夜は、口を開き嫌だと言おうとすると。
「なーにしてるんだイ??」
飄々とした喋り方のまた別の男が、美夜の言葉を遮った。
美夜は誰だと思って見ていると、男は飄々とした男をゆっくりと睨みつける。
「お前こそ…沖田、何故ここに居る??」
どうやら飄々とした男は沖田と言う名前らしい。
威圧をかける男だが、沖田は飄々としながら、屁理屈を言う。
「いやぁ、土方さん、僕達新撰組でショ。見回りするのは当然なんだけどネ」
どうやらこの男は土方らしい。
沖田は、派手な見たことのある新撰組の制服のようなモノを着ていて、目は細目でキツネのような目だった。沖田も髪が長く、色素の薄い髪を一つにまとめていた。
「あ、このコが例のコ??」
そう土方に聞きながらも美夜の頬を軽く人差し指で突く。
美夜は抵抗もできず、二人をただ睨みつける事しか出来なかった。