運命の果ての恋〜歴史は変わらない〜



もう秋ごろになるのだ。

残暑は厳しいままだが…。


美夜は汗だくになって小さい丘の頂上を目指して歩く。

丘の頂上には、ひと時の幸せが待っているのだから。


丘の頂上に、ついた。

ギラギラと憎らしくてらしつける太陽は相変わらずだが、風が心地好く吹いている。

美夜も浅く深呼吸をして、腰をおろした。


「…ふぅ」

今日の昼食、というより毎日メニューは変わらないがおにぎりを取り出す。

ペコペコすぎるお腹には至福なひと時なのだ。

誰も知らない、誰も来ない自分だけの場所だった。


食べ終えると、美夜はごろん、と寝転んだ。

目の前は夏の水色の空が掻き回された後、視界が定まる。

その頃には草の心地好い香りが鼻をくすぐる。


美夜は、言葉もはっさずに空を仰いだ。

この隣に、龍馬と重太郎が居たら。


そう考えてまた幸福な気持ちになった。

今度また皆の時間が空いた時に来よう、と核心するのであった。


< 69 / 137 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop