運命の果ての恋〜歴史は変わらない〜
「昨日の…トシの事とか…不安になっただろう??不思議に思っただろう…」
近藤は、美夜とは目を合わさずにまっすぐ向こうを向いて語りはじめた。
横顔からでも、本当に心配してくれているのがわかる。
「俺は…新撰組局長、近藤勇だ」
一瞬、時が止まったように感じたのは美夜だけか。
一瞬、大きな風が自分に吹いたように感じたのは美夜だけか…。
近藤の発言に、頭は一旦真っ白になってしまった。
いつもよく来てくれて、笑顔をたくさん振り撒いてくれて、優しく気遣いもしっかりしてくれた人。
その近藤が、実は敵だったのだ。
にっくき新撰組の、局長。
「アハハ…近藤さんが??」
慌てて作り笑いをして冗談っぽく受け取ろうとしたが笑顔がなんとなく引き攣る。
それでも近藤は、言葉を紡ぐのを止めなかった。
「俺は、よく店に通っていてだろう??それをトシが見つけて、そんなに客が多いなら攘夷浪士がいるだろう、と行ってトシ単独でお龍さんに近寄った。全ては、この俺のせいなんだ!!!」
近藤が、美夜の方を向いたと思うと頭を急にさげて謝った。
美夜が慌てて頭を上げてくださいと言うが何も言わずに頭を下げたままだった。
「頭上げてくださいって言ってるでしょうが!!!」
美夜の怒鳴り声が、響き渡った。