運命の果ての恋〜歴史は変わらない〜
憤怒の過去
目を開けると。
よく知る天井が。
「あれ…??」
半ば夢か、と思っていたら、心配そうな龍馬が口を開いた。
「大丈夫かえ??」
そう、言って近寄ってくる。
途端、美夜に安堵感が襲い思わず泣きそうになるが堪える。
「よかった…夢…だった」
そう言う。
だって、あの優しい近藤さんがあんな事しないから。
そう、考えていると。
いつもみたいに壁にもたれ掛かっている重太郎が口を開いた。
「夢やなか」
そういう重太郎の声に、心なしか怒りの感情がこめられている様な気がした。
「美夜ちゃん…すまんのぅ…もうちっくとばかし早かったらのぅ」
龍馬が、優しく美夜を抱きしめた。
いつもの慣れた力加減で、謝るかの様に、優しく、優しく。
美夜も、ゆっくりと腕を龍馬の背中にまわす。
龍馬の首もとに、顔をうずめた。
やっと戻れたというような安堵がして今度は堪えきれない涙が溢れてくる。
本当に、恐かった。
何が起こるか分からなかったから。
仕事に行く前に重太郎が注意した事が身に染みて分かったような気がした。
「ごめんなさい…ごめんなさい…」
美夜は、顔を上げずにただただ泣きながら謝った。
もう、何に謝っているのか。
もう、何に泣いているのか。
分からないほどに。