運命の果ての恋〜歴史は変わらない〜
再会
目をさます。
今日は珍しく龍馬が1番に目を覚ました。
やることもないな、なんて思いながらぼうっと座る。
(こじゃんと懐かしい夢ば見たのぅ…)
昔を思い出したように、龍馬の口は緩む。
男ながらにして長い睫毛が瞳を覆ってしまう。
ふと、加尾の事を思い出した。
考えてみればあれは、初恋だったのだ。
自分も若かったな、なんて考えて一人で笑い出す。
今はとても幸せだ。
隣に愛する妻、美夜が居て。
隣に頼れる仲間、重太郎が居て。
それだけで幸せだ。
美夜の頬を柔らかく撫でる。
すると美夜は幸せそうに眠りながらも微笑むのだから可愛くて仕方がない。
頬にキスをおとす。
リップ音が、響く。
この幸せを崩す者が居るのならば。
龍馬の顔は一気に引き締まる。
きっと、今まで異常に怒りに身を任せてしまうだろう。
美夜が近藤に襲われかけた時、重太郎が名前を強く呼ばなかったらどうなってたか分からない。
しかし、自分の不注意で怖いめにあったと思うと胸は針に刺されたように痛い。
大切な存在を失うのは、恐すぎる。
自分が何をしてしまうかも分からないし
自分がこの先どうしたらいいかも分からない。
龍馬は、そんな事を考えるのをやめて、立ち上がって表へ出た。