運命の果ての恋〜歴史は変わらない〜
「龍馬様!!!!」
耳に深く焼き付いた、加尾の声も蘇る。
否、蘇ったのではない。
加尾本人が、龍馬の名を強く呼んでいたのだ。
龍馬は反射的に、声のする方向へ向くと。
昔とは随分変わって、いまではすっかり大人になった加尾の姿があった。
着物の柄も昔と変わらず気取らない藤色のシンプルな着物だった。
しかし、どこか幼さが残る笑顔は加尾の面影が残っていた。
「加尾…??」
唐突すぎて、龍馬はただ目を見開いて加尾かどうか確認する事しか出来なかった。
そんな反応をする龍馬に加尾はクスリと笑みをこぼし、「そうですよ」と言う。
お互いの瞳には、涙があった。
加尾は大人になってすっかり色気なモノを漂わせていた。
ゆっくりと、龍馬に歩み寄る。
「この逢瀬をどれ程夢見た事でしょうか…!!」
「…わしもじゃあ!!」
お互いに、幾年ぶりの逢瀬に気持ちが高ぶり抱き合った。
二人の頬に伝う涙は、朝から輝く太陽が優しく包み込む様に照らした。