運命の果ての恋〜歴史は変わらない〜
お互いの息がかかる所まで、唇が近づいた。
「美夜…」
初めて、重太郎が美夜を下の名で呼んだ。
「愛しちゅう」と言おうとしたが、またこの言葉を飲み込んだ。
すると、遠くから。
「美夜ちゃーん!!!!!」
龍馬の、呼ぶ声が聞こえた。きっと幻聴とかではないだろう。
重太郎も、声の方向を向いたから。
「今更遅いよ…馬鹿」
そう言って、美夜はもう一度重太郎の方を向き直すと、重太郎の両頬を両手で包んだ。
美夜はまるで、何かから逃げるようにして重太郎に唇を近づける。
「美夜ちゃん!!!!」
龍馬の声が近くなったと思うと、すぐそばまで、息をきらした龍馬が立っていた。
だけど美夜は、龍馬を見た後すぐに重太郎に唇を近づける。
すると。
美夜の視界が一気に掻き回されたと同時に、妙な重力に襲われた。
「きゃぁッ!!!!」
何もない原っぱに、美夜の悲鳴が響いた。