運命の果ての恋〜歴史は変わらない〜
「お大事にー」
と、陽気に言う先生とは対比して、美夜のテンションは最低だった。
足どりもさらにおぼこくなって、まともに歩いているか分からない状態。
ふと、膝が自分の体重を支えきれなくなって。
こける、と思ったが体は動かない。
すると、ぽふ、と誰かに抱きしめられる形でこけるのを免れた。
それを理解するのも遅れて、ゆっくりと顔をあげると。
見慣れた男が、居た。
「ゲ、沖田」
「何それ酷いなァ^^」
いつぞやの件があって以来、顔をあわせていなかったのだが、美夜にとってはどうも苦手な存在だった。
貼付けたような笑顔が不気味だったのだ。
「どうしてこんな所に居るの??」
美夜は素早く沖田から離れて、腕をサッサと払う。
すると、いつも笑って引き締められた目が緩く開かれる。
「まぁ…ねェ^^」
沖田は、なんとなくはぐらかした。
いつもの飄々とした感じじゃなくて、ちょっと貼付けた笑顔が消えた瞬間。
なんとなく、聞いてはいけないような威圧をかけられたような気がして、美夜はそれ以上沖田を問いただせなかった。
「何よ、ソレ…」
と、悪態をつく。
「何があったかは知らないけどお大事にねィ^^」
「そちらこそ」
結局、沖田はまたいつもの貼付けた笑顔になってしまった。