運命の果ての恋〜歴史は変わらない〜
「あ、美夜ちゃん!!」
言われた通り、龍馬はきっちりその場所で待っていた。
まるで忠犬みたいで、美夜は思わず笑ってしまった。
「で!!」
龍馬の期待の目は何なのか。
目には宝石を埋め込んだみたいにキラキラしている。
「いや…その…」
仮にも、美夜は吐き気や熱っぽさを訴えているのに。
「…分かってたの??龍馬」
まさか分かっていたのか。
美夜が話をきって龍馬に聞くと。
「さぁ〜??」
と、龍馬は子供のような悪戯な笑みを浮かべるから、これは知っていたな、と美夜は核心した。
「…できました、赤ちゃんが。」
「そうかえ!!!!!!」
龍馬の予想が確認に変わった瞬間、龍馬の喜びは最高潮に達して病院にも関わらず大声をだした。
美夜自身も、妊娠したとはあまり実感ない事だった。
ましてや、成人もせずに。
こんな時代避妊薬もなければ避妊道具もないのだ。
危ない日には龍馬を止めていたが言うことを聞くわけなくて。
「〜〜ッ!!声デカイよ…バカ龍馬」
人目も気にせず喜ぶ龍馬に、よけいに本当なんだって思い知らされて余計に恥ずかしくなる。
「ん〜でも…」
喜んでいたのに、いつの間にか腕をくんで悩んでいた。
表情がコロコロと変わる龍馬は、いっつもの事だが。
なんだか笑えた。
「どうしたの??」
「…今日から美夜ちゃんばお預けか思たら」
「わっ、バカ!!」
結構な爆弾発言をしかける龍馬を、慌てて声を張ってふさぐ。
「??」
しかし龍馬はどうしてか分かっていないみたいで。
さらに美夜は顔を赤くして俯く。
「そんな事…平気で言わないでよね…」
ぷい、と龍馬とは違う方を向いて、人込みの方へ歩きだす美夜。
そんな仕種が、かわいかったりして。
「アハハ〜すまんちゃ〜」
いつものようにへらりと笑って美夜の方へ歩みよると。
ぐい、と腕を引っ張って自分の方に引っ張る。
「それに…こげん人込みん中危ないき…」
美夜を抱きしめながら、龍馬はまた悪戯っぽく笑った。
そんな仕種に、キュンとしていたりして。
「わかってる…子供じゃないし」
美夜の顔は、もう限界というぐらいに真っ赤に染まっていた。
「わしにとっては子供じゃあ」
そう言いながら美夜の頭をポフポフと撫でる。
「バカ…」