ヴｧﾙｷｭﾘｱ ｲﾝ ｷｯﾁﾝⅡeternal

「ほら、お前のナイフ」


「……え？」



　差し出されたのは昨日刃先が折れてしまった愛用のナイフだった。



　見ると刃先の折れは若干歪みは残っているものの作業するには支障がない程度に整っていた。


　刃渡りのヒビも跡形もなく無くなっていて研ぎ澄まされて奈央の顔を映し出していた。



「一条さん……これ」




「見てわかんないのか？　お前の相棒だろ。このリンゴ剥いて試運転してみてくれ」




　一条はポンと軽く奈央に丸々とした真っ赤なリンゴを投げ渡した。




　新品同様の煌きを奈央は信じがたい目で見つめて、手渡されたリンゴに刃をいれた。



「す、すごい……」