ヴァルキュリア イン キッチンⅡeternal
「ナイフってのは始め使い勝手が悪くても、長年使い込んでいけば不思議と持ち主の癖をわかってくれる。そのナイフにしかわからないお前のハンドリングの癖だ」




 一条はリンゴを完食すると、カウンターの上にあるフルーツバスケットの中からオレンジを取り出して、手早くカッティングするとぺろりと平らげた。



「俺が言いたいのは、簡単に相棒を手放すなってことだよ、親から譲り受けたものなら尚更大事にしろ……いいな」



「……はい」




「それに、どんな戦地でも剣がなきゃ……戦えないだろ?」




 一条が愛おしそうに目を細めながら奈央の頭を撫でる。
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