ヴァルキュリア イン キッチンⅡeternal
 F.S.Iの守秘義務なのだろう、一条もそれがわかっているので敢えて追求したりしない。


 けれど、羽村の言葉は少なからずも一条の中に黒い染みを落した。



「春日さんの口から、彼女の名前が出た時はまさかと思いましたが、気になって調べてみたんです」



 羽村の手にかかれば個人的な情報などすぐ手に入る。



「神崎の素性からいって、あまり春日さんの周りに神崎を近づけないことをお勧めします」



「そんなこと言ったって、あいつは神崎と……友達だって言ってたんだぞ」



 一条は動揺を隠せず拳を握り締めた。




「だったら正直に言ったらどうです? あなたの友人は犯罪者かもしれないと―――」




「言えるわけないだろ!」



 無遠慮な物言いに一条は思わず声を荒げた。
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