ヴァルキュリア イン キッチンⅡeternal
 そんな事を言えば奈央は必ず傷つく。

自分の言葉で奈央が悲痛に苦しむ姿など一条には耐え難かった。



「長居してしまいました……私はこれで失礼します、それから司」




 羽村が玄関のドアを開け、振り向きもせずに言った。



「あなた自身も気をつけることです、でなければ……彼女を守ることはできない」


 バタン。



 ドアの閉まる音がすると、急激に静けさが舞い戻ってきた。



一条は羽村が出て行ったドアをいつまでも睨みつけ、前髪を掻き上げてソファに腰を下ろした。



「神崎紗矢子……か」
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