ヴァルキュリア イン キッチンⅡeternal
 一年の最後の月「師走」
 その名の通り、行き交う人は皆足早に街を行き急ぐ。




「クリスマス企画のコンテスト?」



 とある休日、久しぶりに一条の休日に合わせて奈央は半休を取り、年に何回あるかわからないデートを楽しんでいた。




 車で出かけた先に、一条お勧めの海が臨めるオープンテラスイタリアンでランチをとっている時、一条がクリスマス企画でいくつかのホテルが集ってクリスマスディナーのコンテストを催すという話しを持ちかけてきた。



「ああ、昨日兄貴からその話し聞いてさ、去年は忙しくて辞退したんだ」



「そうだったんですか……」



「でも、今年のコンテスト、お前となら出てもいいかなって思ってる」



 そのクリスマスコンテストは連名でエントリーすることが可能で、殺伐とした緊張感のあるコンテストというよりも、こぞって和気藹々と競う温和なものだった。
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