ヴァルキュリア イン キッチンⅡeternal
「私と?」



「ああ、審査対象はメイン一品って決まってる、お前は結構レシピの案がオリジナリティーに溢れてるからな……お前こういうの好きだろ?」



「はい、やっぱり出るからには勝ちに行きたいです」



 季節は冬だが日中は日差しが気持ちよく、テラスで食事をしながらオーシャンビューを眺め、二人は穏やかな時間を過ごしていた。



「来年あたり二人で旅行とか行けたらいいのにな……」




 一条が背伸びをしながらぽつりと呟く、胸元に引っさげた薄づきのサングラスがきらりと太陽に反射する。



「私、一度でいいから一条さんとパリに行きたいです」



「……え? パリ?」



「はい、だって、一条さんが歳の半分以上を過ごした場所ですから、見ておきたいんです」



「なんだそれ」



 一条が鼻で笑いながらどことなく嬉しそうに小さく微笑んだ。
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