ヴァルキュリア イン キッチンⅡeternal
「どうしていつも欲しいものは手に入らないのかしらね……それこそどんなに大金積んでも手に入らないなんて」



 紗矢子は斎賀のシガレットケースから煙草を一本取り出すと、斎賀がすっと火をよこした。



「世の中には運ってものがある、時に諦めも肝心ってことだよ」



「ふふ……私が諦めの悪い女だってことくらい、もう知ってるでしょ?」



 紗矢子小さく笑い、ため息と同時に細く煙を吐き出した。




「紗矢子……お前、まだ危ない綱渡りのような仕事してるのか? この間だって、あの取引は―――」



「だーめ、その先は言っちゃ」
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