ヴァルキュリア イン キッチンⅡeternal
「はぁぁ」
会場内で突然奈央から電話がかかってきて、慌てて取ったが周りが騒がしくて会話もままならなかった。
顔見知りでもなく、まして面識もない人間とさもどこかで会ったかのように愛想笑い浮かべて会話をしなければならない、一条はそんな空間に辟易してパーティ会場内のホールで流れていた穏やかなクラシックでさえ煩わしく感じてしまった。
縋り付くように廊下の一角に配置されている喫煙スペースでひとり紫煙を燻らせていると背後に気配を感じた。
「お疲れのようですね、一条先生」
ソファにふんぞり返ったまま目線だけ動かすと、そこに神崎紗矢子が笑みを浮かべて立っていた。