ヴｧﾙｷｭﾘｱ ｲﾝ ｷｯﾁﾝⅡeternal

「ここのホテルのオーナー様に頼まれてるんです。もっとアルバンの名前を売ってくれって、クリスマスコンテストの会場に設定したのも私なんですよ」



「な、なんだって？」



　一条はずっとクリスマスコンテストの会場について疑問に思っていたことがあった。



　毎年コンテストの会場になるホテルはローザンと並ぶ一流ホテルが選出される。


　アルバンは星はついているものの三ツ星程度だ。


　何故会場にアルバンが選ばれたのかずっと不思議だった。


　といっても、そのような事を公に言葉にするにも憚れずっと黙ていた。


「お前……一体……」



　平然としている紗矢子の笑みにただならぬ雰囲気を感じて、一条は言葉を失った。



『ただの女じゃない……』



　一条の脳裏にそんな文字が浮かび上がった。