ヴァルキュリア イン キッチンⅡeternal
「……帰る」


 すっくとソファから立ち上がって、踵を返すと紗矢子が一条の手を取った。



「なんの……なんだ」



 なんの真似だ? と言いそうになって言葉を改める。


 紗矢子の手は細く白くそして冷たかった。



「すみません、思わず……手を取ってしまって」


「……」


「一条先生……」



 か細く紗矢子が囁くように一条の名前を呼びながら、そっと体重をかけて一条の胸元に擦り寄った。
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