ヴァルキュリア イン キッチンⅡeternal
「おい、そんなとこで何してんだ」



 呆然としている奈央の背後から低い声で声をかけられた。



「一条さん……」



「お前がレシピのチェックしろって言ったから、さっきまで休憩室で待ってたんだけどさ」



「あ、す、すみません! 今ちょうど向かう途中だったんです……けど」




 一条が眉を歪めている様子を見ると、紗矢子との会話を聞かれていたのかもしれない。



「神崎と話してたのか?」



「……はい」



 奈央がそう答えると、一条は小さくため息をついて腕を組んだ。



「お前、昨日なんで逃げた?」



 低い声が益々低くなったような気がして、奈央の心臓が早鐘を打った。




「俺の話し何も聞かないで勝手に自己解釈してるんだろ?」



「……」




 何も言えなかった。


 奈央は視線をそらすと、一条がずいっと前に出て、奈央を廊下の壁に押しやった。
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