ヴァルキュリア イン キッチンⅡeternal
「仕事に集中したいんです! 今は……大事な時ですから、私なんかのことよりも―――」



「お前のことだって大事だ!」



「っ!?」



 一際声を荒げる一条に、奈央は肩を竦ませて息を飲んだ。



「お前……俺にどっちか選択しろって言いたいのか?」




 覗き込んでくる一条の瞳に奈央はたじろいだ。



「だ、だって……」



「仕事か女か? ……そんなの両方に決まってるだろ――― 俺は欲張りなんだ、舐めんなよ」



 クリスマスのコンテストはどうしても成功させたかった。


 だから、自分のことで一条が思い悩んでいるのなら、解放してあげたいと奈央は思った。



 けれど、一条は壁に爪を突き立てて引っ掻き、その瞳の奥には憤りの気配しか感じられなかった。


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