ヴァルキュリア イン キッチンⅡeternal
「紗矢子さん……本当は一条先生のことなんて、どうでもいいんじゃないですか?」



「ええ、どうでもいいわ……ちょっといい男だけど……私じゃどうにもならないのわかってるから」




 諦めにも似たため息と共に、紗矢子は煙草を取り出して火を点けた。


 フィルターに煌くグロスがつく。



「紗矢子さん、何したか知りませんけど……あんまり徒なことしない方が―――」


「なに?」



 紗矢子の凍てつくような声に奈津美は言葉を続けられなかった。


 なぜならば、その口調は紗矢子の機嫌が悪くなった証拠だったからだ。
< 192 / 326 >

この作品をシェア

pagetop