ヴァルキュリア イン キッチンⅡeternal
「なんだ、浮かない顔して」



「あ……」



 伏し目がちにテーブルの上を未意味に凝視していたら、頭の上から待ち人の声が降ってきた。


「一樹……」



「悪い、昔の馴染みの客と会ってたんだ。それより、随分長い時間待ってたみたいだな」



 斎賀はオーナーでありながら、自分がまだキャストとして働いていた頃の客を大事に贔屓にしていた。


 どの客も有閑マダム揃いで、当時斎賀は一生金に困ることがない程稼いでいた。
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