ヴァルキュリア イン キッチンⅡeternal


「飼い犬に手を噛まれた感じってこんな気持ちなのかしらね……」



 奈津美は昔から自分に従順だった。


 だから紗矢子もずっと手元に置いて可愛がってきたつもりだった。


 だから先程、自分に咎があるよなことを指摘された時はついむきになってしまった。



「どうした……何か話があるんじゃないのか?」



「うん、私……やっぱり病気なのかも……」



「……え?」



 紗矢子は新しくテーブルに運ばれてきたマティーニのグラスに手を添え、ゆらゆらと揺らめくほんのりクリーム色に色づいた液体を眺めた。
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