ヴァルキュリア イン キッチンⅡeternal
「……やめてよ、優しくしないで……」



「……」



 今にも消え入りそうなか細い声が震えている。


 紗矢子は斎賀に引き寄せられ、されるがまま肩に頭を預けた。



「お前のことは詮索しない、けど、ここにいる間はおとなしくしておけ……」



「じゃあ、私の我が儘を聞いて……」


「我が儘?」



「……家に帰らないで、朝まで一緒にいて」



 紗矢子の目頭からひと雫の涙が鼻筋を通って流れおちた。


 斎賀は気づくことなく紗矢子の持たれる頭に口づけた。


「ああ、わかったよ」
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