ヴァルキュリア イン キッチンⅡeternal
「コンテストに入賞すれば、うちの宣伝にもなるからな、頑張ってこい」



「ああ、わかってるよ」



 結局はホテルの宣伝のため……。


 兄の温かな言葉も結局ひねくれた見方しかできなかった。



「お前、なんか顔色悪いぞ? コンテスト前なんだから、体調は整えておけよ、じゃあな」



 軽く手を振って、エレベーターに乗り込む兄の背中を見送った後、一瞬視界がぐらついた。



『な、なんだ……立ちくらみか』



 正直言うと、ここのところ仕事が忙しくて寝る間もなく忙しなくしていた。


 そして、朝からなんとなく身体が重く嫌な倦怠感が一条の動きを鈍らせていた。



「っ……」

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