ヴァルキュリア イン キッチンⅡeternal
 考えれば考える程、頭痛がしてきた。

 一条は首を振って自室に戻ると、剥ぎ取るようにシェフコートを脱ぎ去り、一糸まとわぬ姿でそのままシャワー室へ向かった。



 コックをひねって頭から熱めのお湯を浴びる。


 髪の毛からつま先まで徐々に身体が温まっていく。



『あいつ、今なにしてるかな……』




 いつも奈央のことばかり考えているというのに、現実はどうしてうまくいかないのか、一条は鏡に映る自分に向かってため息をついた。



 あの時、自分は奈央に誤解されたままでそれを弁解をしようとしている自分がひどく滑稽に思えた。



『何がキスしてるかと思ってだ……そんなこと、するわけないだろ』



 自分を信じてもらえなかったような奈央の言い草についカッとなって、投げ出すような言い方をしてしまった。


 後で冷静に考えたらあまりの狭量さに嫌気がさしてきた。
< 204 / 326 >

この作品をシェア

pagetop