ヴァルキュリア イン キッチンⅡeternal
 彼氏くらいる。



 そう言いかけて奈央は言葉を飲んだ。


 今まで仕事一筋でやってきた奈央にとって、男という存在は眼中にもなかった。


 恋愛なんて自分には必要ない、関係ないと思ってやってきた自分が、そんな台詞を誰かに言う日が来るとは思ってもみなかったのだ。



「で? どんな人? かっこいい?」



 料理が運ばれてきて、説明するウェイターを無視して、紗矢子は話に食いついてきた。



「職場の人……」



「社内恋愛!? そっかぁじゃあ~大変だね」



 いかにも社内恋愛で大変な目にあったと言わんばかりの台詞に、奈央は一瞬焦りを覚えた。



「結婚とか考えてるの?」



 ―――結婚。


 その単語に奈央はピクリと肩が震えた。



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