ヴァルキュリア イン キッチンⅡeternal
 なんの脈絡もなく唐突に質問され、梨菜は困惑した。


 一瞬何かの冗談とも思えたが、この冷徹冷血と言われている羽村が、いきなりこんなくだらない冗談を言うだろうかとも思った。


 梨菜は考えたがそれでもその質問の意図が見えなかった。



「自分の目の前で逮捕……やっぱり、ショックなんじゃないでしょうか?」



「ふん……ありきたりだな」



「な……」




 率直な意見を言っただけなのに、あっさり羽村に一蹴されてしまい梨菜は唇をへの字に曲げた。




「羽村さんが聞いたから素直な意見を言ったまでですよ? 一体どうしたんですか?」




「いや、なんでもない……」
 羽村は再び煙草に火を点けたはいいが、一点を凝視して何かを考え込んでいた。


 羽村の指の間で、煙草がどんどん灰と化していった。梨菜はそれを羽村に教えようとしたが途中でやめた。


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