ヴァルキュリア イン キッチンⅡeternal
空を見上げると夕方から天候が崩れるという天気予報がにわかに信じがたいほど快晴だった。
奈央はコンテストの荷物を全部引っさげて、アルバンホテル近くの喫茶店でホットコーヒーを飲みながら冷え切った身体を温めていた。
ガラス越しに行き交う人は皆、肩をすくめて足早に目の前を通り過ぎていく。
コーヒーを飲みながら自分だけ温かい思いをしているのが悪い気がしてきた。
「……ん?」
行き交う人の中、通りの向こうで既知感のある後ろ姿に、奈央のコーヒーカップを持つ手が止まった。
『紗矢子……?』
モデルのような出で立ちは一見目を引く。
髪を揺らして振り向くその姿は紛れもなく神崎紗矢子だった。
紗矢子はパリッとスーツを着こなした男性と話しているようだが、両者の顔の表情からあまり雰囲気は思わしくないように見えた。
しばらくすると、紗矢子に向かってもう一人男性が歩いてくるのが見えた。
カジュアルな服装で、紗矢子の傍に寄り付くなり馴れ馴れしく紗矢子の腰を抱いている。
不可解な光景に奈央は思わず目が離せなかった。
それから、カジュアルな男性は紗矢子の肩を抱きながらスーツの男性を横目にアルバンホテルの方向へ向かって行ってしまった。
残された男性は憮然とした表情で軽く首を横に振り、道を横切って奈央のいる喫茶店に入って来た。
「……!」
奈央はコンテストの荷物を全部引っさげて、アルバンホテル近くの喫茶店でホットコーヒーを飲みながら冷え切った身体を温めていた。
ガラス越しに行き交う人は皆、肩をすくめて足早に目の前を通り過ぎていく。
コーヒーを飲みながら自分だけ温かい思いをしているのが悪い気がしてきた。
「……ん?」
行き交う人の中、通りの向こうで既知感のある後ろ姿に、奈央のコーヒーカップを持つ手が止まった。
『紗矢子……?』
モデルのような出で立ちは一見目を引く。
髪を揺らして振り向くその姿は紛れもなく神崎紗矢子だった。
紗矢子はパリッとスーツを着こなした男性と話しているようだが、両者の顔の表情からあまり雰囲気は思わしくないように見えた。
しばらくすると、紗矢子に向かってもう一人男性が歩いてくるのが見えた。
カジュアルな服装で、紗矢子の傍に寄り付くなり馴れ馴れしく紗矢子の腰を抱いている。
不可解な光景に奈央は思わず目が離せなかった。
それから、カジュアルな男性は紗矢子の肩を抱きながらスーツの男性を横目にアルバンホテルの方向へ向かって行ってしまった。
残された男性は憮然とした表情で軽く首を横に振り、道を横切って奈央のいる喫茶店に入って来た。
「……!」