ヴァルキュリア イン キッチンⅡeternal
 一瞬聞き間違いかと思ったが、確かに奈央の耳に自分の知っている人の名前が聞こえた。


『羽村さん……って? どういうこと? でも同じ苗字の人だっているし』



 羽村という苗字はさほど珍しい苗字でもない。


 奈央は気を取り直して店を出る支度を始めた。




 斎賀は携帯を耳にあてながら途方に暮れていた。


 なぜ、紗矢子はいつも自分の言うことを聞かないのか、いつまでも子供で天邪鬼な女だと思っていた。


 けれど、少なからずも自分にも責任があると斎賀は感じていた。


 自分の気持ちが定まらないばかりに紗矢子を弄んでいるような気さえする。
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