ヴァルキュリア イン キッチンⅡeternal
 一条がコンテスト会場のフロアへ着いた時だった。


 エレベーターのドアが開くと待ち構えていたかのように紗矢子が立っていた。



「お前は……」



 一条が思わず身構えると、そんな様子を紗矢子は鼻でクスリと笑った。



「こんにちは、一条先生」



 そう言うと、紗矢子は一条に擦り寄りエレベーターの中へ押し込んだ。



「なんの真似だ?」



 紗矢子の後ろで無情にもエレベーターのドアが閉まる。



「一条先生、連名でコンテストに参加できなかったら……アルページュは失格になってしまうって聞きました」


「……」



 一条は自分の知っている料理教室の生徒、神崎紗矢子ではない事を理解すると、その得体の知れない女に戸惑いを覚えた。


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