ヴァルキュリア イン キッチンⅡeternal
「な、なんでお前がそれを知ってる?」


「……私が知らないことなんてありません。ああ、でもアルページュが失格になってしまったら私も困るんです」


「どう言う意味だ……」



 眦を吊り上げながら、じりじりと湧き上がる焦燥感に心臓が早鐘を打つ。



「ローザンホテルと今度契約を交わそうかと考えているんです。きっと経営も安定してくると思いますよ」



 紗矢子はもしかしたらローザンホテルの経営状況を全部把握していて言っているのかもしれない。


 それならばなぜ、内部の人間にしかわからないようなことを知っているのか、一条の頭の中でいくつもの疑問詞が浮かんだ。



「奈央の代わりに……私が先生とコンテストに出る、というのはどうですか?」



「なっ……」
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