ヴァルキュリア イン キッチンⅡeternal
 ガラス越しに思わず立ち止まって見入ってしまった。

 奈央のその視線に気づいたのか、巻き毛の可愛い女性と不意に目が合った。


 奈央はその視線から逃れるように目を逸らすと、足早にその場を立ち去った。



 言いようのない羞恥心に奈央の表情が曇る。


 アルバンホテルの大通りだが今夜は降り積もる雪のせいで人通りがない。

 このまま一人で歩いてずっと一人だったら……。

 気持ちが不安定だと意図しないことまで考えてしまう。


 奈央は居た堪れなくなって再び走り出した。
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