ヴァルキュリア イン キッチンⅡeternal
『肉を裁く姿を見て見惚れてたなんて言えない!』



「ぼさっとしてないでさっさとパッキングしてブリーザーに入れろよ」



「あ、はい」



「鮮度が落ちる」



「すみません」



 ギロリと睨まれて奈央は慌てて手を動かし始める。

 一条は集中している時はけして私情を挟まない。

 あくまでも部下だ。

 奈央はそんな切り替えのできる一条を尊敬していたし、慕っていた。



「よし、完了っと」



 ものの数分で牛一頭分の解体が終わった。


 ひとかけらのクズ肉も出さない一条の完璧な手裁きは誰も勝ることはできない。




『一条さんってやっぱりすごいな……』
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